プロビデントファンドとは?
プロビデントファンドとは退職金積立基金法(provident Fund Act,1987年)に基づく退職金給付制度です。ここでの退職金とはいわゆる定年退職ではなく、自己都合・会社都合による中途退職もすべて含みます。基 本的には雇用者と被雇用者が毎月半分づつ基金を積みたて、ファンドマネージャーが市場で運用し、被雇用者の退職時に元本と運用収益をあわせたものを支給し ます。雇用者、被雇用者の積立金およびその収益金のうち、従業員の積立金はどんな退職の場合でも返金されますが、そのほかの部分については定款の付属文書 の形でFund Director(雇用者により指名される)が設定することができます。(入社何年以内の退職の場合の支払い割合など)積み立ては被雇用 者の毎月の給与と会社からの積立金で行い、毎月の積みたて額は給与の2~15%の間で任意で選択することができます。
ただし会社側の積立金は必ず被雇用者の積立金と同額か、それ以上であることと定められています。プロビデントファンドは国の機関で あるSEC(Security Exchange Commission)に承認された業者のみが取り扱うことができます。現在(2016年2月)23社 がこの取り扱い業務を行っています。
プロビデントファンド採用のメリット
プロビデントファンドの採用はお客様の社員の皆様の福利厚生を向上させ、雇用者・被雇用者ともにメリットを享受できます。
〔雇用者のメリット〕
従業員の定着率アップが図れます。積立金については費用扱いとなり、法人税の適用外となります。(ただし、給与支払いの15%を超えない部分)退職金の積み立て運用について、専門家に任せることにより負担が軽減できます。
〔被雇用者のメリット〕
被雇用者は一定期間の就労後(期間は定款で定められる)退職する場合に自己の積立分、会社の積立分、そしてそれぞれの収益分の金額を受け取 ることができます。各自の積立金は非課税になります。積立金を運用して得られた収益分も非課税です。プロのファンドマネージャーによる運用により、高い収 益が期待できます。資金運用に色々な手段を組み込めるため、投資リスクを分散することができます。 一度基金に納められた資金は雇用者により勝手に引き出すことはできません。
プロビデントファンドの種類
シングルファンド
お客様一社で一つの基金を組みます。
運用資産が1億バーツ以上の企業が対象です。
プールファンド
複数の企業の基金を合算して運用します。従業員数や資産規模に関係なく利用できます。運用資産の規模が大きくなるためより効率的な運用が可能です。経費も拠出金に応じて按分されるため負担が少なくてすみます。
上記のプールファンドは運用の仕方により、以下の2種類に分類されます。
銀行貯金、国債などの安全性の高い資産での運用をするローリスクローリターン型
株式、ワラント債、社債などを含めて運用する。ハイリスクハイリターン型
プロビデントファンド運用の流れ

福利厚生の充実のため、顧客日系企業様でも運用を開始する会社が年々増えています。
プロビデントファンドに関する10の質問
Q1. プロビデント・ファンドとは何ですか? »
A1.
プロビデント・ファンドとは事業主(雇用者)と従業員(被雇用者)とで一緒に積み立てる任意のファンドのことです。ファンド会員たる被雇用者が拠出する貯蓄金と、雇用者が拠出する積立金とから成ります。従業員が退職、定年退職、身体に障害を負ったときや死亡したときに、ファンド会員たる従業員とその家族の生活を保障することができます。
Q2. どんな構成ですか? »
A2.
- 被雇用者の貯蓄金: ファンド会員たる被雇用者がファンドに拠出するお金のことです。実際の支払いは雇用者がその被雇用者に給与を支払う度に毎回、その給与から天引きして行なわれます。貯蓄金拠出額はそれぞれのファンドの規定にも拠りますが、毎月の給与支給額の2~15%の範囲内と法律によって定められています。
- 雇用者の積立金: 雇用者がファンド会員たる被雇用者のために拠出するお金のことです。この積立金の拠出額はファンドの規定に従うこととなっていますが、被雇用者が自分で負担する貯蓄金を下回らない額とされています。
- 貯蓄金及び積立金による収益: 貯蓄金及び積立金の運用から得られる収益のことです。運用はファンド運用会社によって行なわれます。

Q3. プロビデント・ファンドのメリットは何ですか? »
A3
事業主にとって
- 従業員の事業主に対する好感度及び連帯感の向上。また、それによる仕事の効率性 アップ。
- 税制面での恩典享受。雇用者がファンドに拠出する積立金は、年間人件費の15%を超えない範囲で、経費として控除することができます。
- 会社のマネージメント負担を軽減し、キャッシュ・フローの効率性が高まります。
従業員にとって
- 事業主が積立金を拠出することから、従業員にとっての賃金アップと同等の効果を得られます。
- 退職時、もしくは定年時に従業員が得られるお金が増えることになります。
- ファンド会員が身体に障害を負ったときや死亡したときに、ご家族の生活を保障します。
- ファンド会員自身と家族にとっての貯蓄機会となります。
- 貯蓄金がファンド運用のプロによって運用されます。
- 税制上の優遇措置を受けることができます。
Q4. ファンド会員が得られる税制面での恩典には何がありますか? »
A4.
ケース1:ファンド会員が貯蓄金を拠出するとき
ファンド会員がファンドに支払う貯蓄金は、税金支払いの際に所得として算入不要です。
但し、下記の条件に従います。
- 所得税額算出の際、一年度につき年間貯蓄金拠出額の内10,000バーツを上限に所得控除することができます。
- 10,000バーツを超える部分については、年間給与総額の15%以下、かつ49万バーツ超えない額まで非課税扱いとなります。
ケース2:ファンド運用会社の資金運用時
プロビデント・ファンドの運用益から得られた所得については、全額源泉徴収が免除されます。
ケース3:ファンド加入者が退職したとき
税額を算出する際、下記3つの部分が課税対象になります。
- 会社(雇用者) の積立金
- 雇用者の積立金による収益(運用益)
- 被雇用者の貯蓄金による収益(運用益)

■転職する場合
4種(貯蓄金、積立金、貯蓄金による収益、積立金による収益)全て、新しいファンドに移転されます。税制面での恩典は継続して受けることができます。
Q5. ファンドを運用することができる資産には何がありますか? »
A5.
ファンドが運用もしくは保有できるのは、以下の金融商品です 。
- 預金:商業銀行への預金など
- 債券:国債、短期国債、約束手形、為替手形など
- 普通株、優先株など
- ハイブリッド資本
- デリバティブ・ワラント
- タイ証券取引委員会(SEC)が定めるその他の証券
Q6. ファンド会員がその会員資格を失うのはどういう場合ですか? »
A6.
ファンドの規定が定めるところに従います。例えば、雇用契約を終了したとき、雇用主によりファンド自体が中止されたとき、雇用者が事業を廃業、もしくはマザーファンドから退会したとき、ファンド会員が転職などにより他のファンドへ転籍したときなど。
Q7. ファンドを監視・監督する機関はどこですか? »
A7.
全てのファンド運用会社の資金運用を監視・監督するのはプロビデント・ファンド登記官、即ちタイ証券取引委員会(SEC)です。また、ファンド運用会社各社とも法律遵守及び顧客との契約に基づいた運営を実施するために、内部監査組織を有しています。
Q8. ファンド会員が死亡して会員資格を失った場合、ファンド運用会社は誰に対して払戻金支払いを行ないますか? »
A8.
ファンド運用会社は、ファンド会員がファンド運用会社もしくはファンド管理会社に委任された人物に対して予め書面で指定しておいた相続人(受取人)に対して払戻金を支払うか、もしくはファンド会員が遺言書に明示しておいたところに従って払戻金支払いを行ないます。しかし、もしファンド会員が受取人を指名していなかった場合や、受取人が死亡した場合は、下記比率に従って支払いを行なうこととします。
- 子 2 (子が3人以上いる場合は3)
- 配偶者 1
- 両親 1

Q9. ファンド会員はどのようにしてファンド運用会社の運用成績をチェック、フォローすることができますか? »
A9.
ファンド運用会社はファンドの財務状況が把握できる書類を作成し、毎月、ファンド委員会に提出しています。また、ファンド会員に対しては6ヵ月毎、あるいはプロビデント・ファンド登記官が定めるところに従って、拠出金残高を報告することになっています。
Q10. ファンド会員はファンドからお金を借り入れることができますか? »
A10.
プロビデント・ファンドの設立目的は、働きながら貯蓄して、定年退職時もしくは退職時に備えるというものです。従って、ファンドからのお金の貸出しは法律によって禁じられています。但し、タイ証券取引委員会(SEC)が定める原則、条件及び方法に沿って行なわれる場合を除きます。
パーソネルコンサルタントでは、下記カシコン銀行系の会社と契約しています。
KASIKORN ASSET MANAGEMENT CO., LTD.
電話番号 02-673-3976