2026.01.16

企業マネジメント

「語学」教育の権威が示すコミュニケーション“戦略”

海外での仕事で「外国語」、あるいは「母語/第一言語を異にする人との会話」は避けて通れないものですが、皆さんはその点自信がありますか? 日々の職場・現場で、コミュニケーションは円滑ですか?

日系企業のタイ駐在では、事前に語学学習に十分な時間が割かれるケースよりも、いきなり勤務開始となるケースの方が多いように見受けます。「社内規定でTOEICの点数は駐在資格に達していたけれど、会話はあまり」「日本語のできるスタッフもいるけれど、日本語だけのコミュニケーションには限界が」「英語はできるけれど、来てみたら思っていた以上にタイ語の環境で」等といったお声もよく耳にします。そこで、今回は語学力を“戦略的”に補う術をご紹介したいと思います。

言語をまたぐコミュニケーションが成立するようにするためには、語彙や文法の学習だけでなく、“コミュニケーション・ストラテジー”についても学ぶ必要があると唱える学者は少なくありません。その中でも、例えば、言語学者タローンは、アメリカの名門州立大学ミネソタ大学の名誉教授で『The Modern Language Journal』という第二言語/外国語の学習教育に関する学術誌の編集委員も務める権威ですが、その具体的な戦略として次の5つを示しています。

1. 回避

具体的には、「語彙」「話題」「文法」で、上手く使えないと思うものを避けること。

 

2. 言い換え
同じ意味の別の表現を使うこと。例えば、「parents(両親)」を「mother and father(お父さんとお母さん)」に。

 

3. 母語使用

母語を異にする相手に自分の母語で話したり、「Thisお金change」のように分からない部分に母語を使ったりすること。

 

4. 援助要求

意味が分からない時に、相手に聞き返したり、周囲の分かる人に尋ねたり、自分で調べたりすること。

 

5. ジェスチャー

身振り手振りで、言葉を補足する動きや形を示すこと。

 

「1.回避」を多用すると、語学力自体を伸ばしたり相互理解を深めたりすることの妨げにもなりかねませんので、使用はほどほどに、というところですが、自分の語学力からすると難しいことをその場で無理に話す必要がなければ、混乱や誤解またはエネルギーの消耗や自信喪失などを避けるために有効です。

 

「2.言い換え」は、報連相の精度を高めるのにも役立ちます。話す側と聞く側のやりとりをはっきりさせるための「明確化」・「確認チェック」・「理解チェック」の場面で用いると、勘違い・思い違いも減らせるでしょう。

 

「3.母語使用」そこに具体的な「モノ」があり、表情や身振り手振りも用いる場合、かつその場の関係者が問題解決などで同じ方向を向いていれば、下手に慣れない言語でうまく話そうとするより力を発揮する可能性もあります。ただし、駐在員のように、一定期間外国人従業員とともにあり、特に上下関係もある場合、「日本語を強要される」「現地のことを学ぼうとする姿勢がない」等と否定的に受け止められるリスクもありますので、限定的な使用に努める方がいいかもしれません。

 

「4.援助要求」真面目な方や責任感の強い方ほど、一人で抱え込みがちですが、分からない時は周りを頼ったり巻き込んだりして、リクエストをしましょう。「2.言い換え」を求めるのも一つですし、「もう少しゆっくり話して」と伝えたりスマホの自動翻訳機能に向かって吹き込んでもらったり、色々な方法があります。

 

「5.ジェスチャー」以前、『語学力不足を補う秘訣とは?』でご紹介したように、アメリカの心理学者メラビアンによると、人と人とが直接顔を合わせるコミュニケーションにおいては言語そのもの(7%)よりも、非言語コミュニケーション(声のトーン38%+ボディランゲージ55 %が信用されます。そして、ジェスチャーはボディランゲージに含まれるものです。その大事さが学問の領域を越えて説かれているわけですから、今まであまり身振り手振りを使っていなかった、という方はぜひ意識して使ってみてください。

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