2023.07.21タイの文化

人生を豊かにする「マイペンライ」

タイに住んで「マイペンライ」という言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。仕事の話であれ私生活の中であれ、タイ人が頻繁に口にする言葉で、タイ人の気質を表すといわれています。

ところが、外国人が「マイペンライ」を表面的に捉え、間違って理解していることはよくあります。実は、「マイペンライ」は非常に奥深く、簡単には会得できないタイ人の精神なのです。

では、「マイペンライ」の意味を簡単におさらいしてみましょう。
(1)どういたしまして
「コープクン・カ / クラップ(ありがとうございます)」と言われたら、「マイペンライ・カ / クラップ」と返します。
(2)大丈夫、問題ない
さまざまな場面で使います。

よく使うのは、相手が遅刻した時などに「大丈夫ですよ」と言うような場合です。悪いと思っている相手に対し、問題ないですよ、気にしないで、という意味で「マイペンライ」と言います。

また、断るときの「大丈夫」にもなります。お店で不要なものを勧められたとき、「要りません」では角が立つので、日本人も「いえ、だいじょぶです」と断ることがありますね。タイ語でも「マイペンライ」と言うことができます。悩んだり落ち込んだりしている相手に「マイペンライ」と慰めることもあります。大丈夫ですよ、あまり考え過ぎないようにしてね、という意味になります。

さらに、「マイペンライ」の言葉ひとつでも、口調や表情によってどんなニュアンスの「大丈夫」なのか変わってきます。日本人は本音と立て前が違うとよくいわれますが、タイ人の「マイペンライ」も本当にノープロブレムなのかどうか言葉だけではわかりません。本当に気にしていないのか、実は気にしているのか、相手の気持ちを汲み取ることも必要です。

さて、外国人が誤解している「マイペンライ」気質とは、タイ人は何でも「マイペンライ」で許されるので仕事がいい加減だとか、怠け者だというものです。だから外国人も慣れて細かいミスは気にしないようにしなければならない、と言う人さえいます。
ですが、大きな間違いです。飲み会に遅れてきたくらいなら「マイペンライ」かもしれませんが、自分の家の修理がいい加減で、ひどく遅れているのに平気な顔をしている人なんてどこにもいません。当たり前のことです。怠け者でも何でも「マイペンライ」なんてことがあるわけはありません。

本当の「マイペンライ」とは何か。タイの中学3年生の国語教材に大変よい話が載っていますので、一部を翻訳して引用します。

「マイペンライは、すべての人の日常に浸透した言葉です。この言葉を使ったことがない人はきっといないでしょう。この言葉をたくさん言う人とは、美しく穏やかな心を持つ人のこと。礼節を持ち、他者を許すというタイ人の哲学なのです」

ここでは、友達にジュースをこぼされてスカートが濡れてしまった例が挙げられています。自分は大変困って、本当はすごく怒りたいのです。でも、騒いだところで何の解決にもなりません。そんな時に言う「マイペンライ(大丈夫)」は本音ではないのですから、見かたによっては嘘をついていることになります。ですが、「マイペンライ」の一言によってお互いの心が落ち着き、大喧嘩などの事態を防げるわけです。

また、職場で同期の同僚が自分より先に昇進したような場合にも、「マイペンライ」の精神が役立つといいます。他人を羨ましがって妬んでいたら、心が乱れていい仕事もできません。「マイペンライ(気にしない)」と思って心穏やかに過ごせば、新しいアイディアも湧き、将来的には成功する可能性が高いのです。

この話は、元チュラーロンコーン大学文学部教授のスッティニー氏の著書が出典ですが、「マイペンライ」は現在の言い訳ではなく、将来のための言葉だと氏は考えているのです。周りのタイ人が「マイペンライ」と言うときにそんな高尚なことは考えていない、という反論もあるでしょう。確かにその通りです。けれども、どんな国にも、いい加減な人もいれば、ものを深く考える人もいます。タイ人も例外ではありません。でしたら、良い「マイペンライ」の精神の方を見習いたいものです。

私たち日本人にとっても、良い「マイペンライ」が実践できれば自分の将来にきっと役立つものとなるのではないでしょうか。

 

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