2024.02.15タイの文化

タイでよく見かける「銀行」ならぬ「金行」とは?

バンコクでも地方でもタイの街を歩いていて、必ずといって良いほど見かけるお店が金(ゴールド)専門店「金行」です。中国・中華を意識してか、ほとんどの店舗が赤い塗装・赤い看板で、いつでもどこでも目立っています。

「銀行」ならぬ「金行」ですが、金の価値は装飾のためだけではありません。銀行と比較されるように、金行では金が金価格の変動によって売買され、ちょっとした資産運用に用いられています。空き巣の心配がつきまといますが、やはり「紙幣より実体がある資産」なのです。現在(2024年2月時点)の取引価格は、重さ1バーツ当たり3万4,000~3万5,000バーツで推移しています。円安の現在ざっと15万円前後となり、日本人にとっても高額です。過去10年で数千~1万バーツほど上がっています。もっと昔の1990年代は1バーツ5,000~6,000バーツでした。

もう少し詳しく見ていきましょう。先の「重さ1バーツ」はタイでの単位で、通貨のそれと同じです。金行と呼ばれるように、お店には中国語の表記が多く、バーツも「鉢」と漢字で書かれています。タイの金相場が日本語で説明される際、タイ語の綴りに忠実に「バート」と訳されることも多くあります。

重さ1バーツは、インゴット(バー)で15.244グラム、ネックレス、ブレスレット、指輪などの装飾で15.16グラムです。もちろん、蓄財や資産運用ではインゴットが多く売買されます。日本人にとって何とも中途半端な単位ですが、国際基準のトロイオンスが31.103グラムなので、ほぼ半分と考えれば覚えやすいでしょう。世界的に見れば、グラムで計算し直す日本も中途半端なのかもしれません。

タイは金の純度も独特のようです。日本や欧米諸国では今、K22(22金、91.67%)が標準金と呼ばれるようですが、以前はK18(18金、75%)が適度な強度や加工のしやすさから、一基準とされてきました。K22というのは、タイ以外の東南アジア諸国や中東諸国で基準とされていた純度です。

当のタイといいますと、K23(23金、96.5%)が基準です。日本では奇数が敬遠されるのでしょうか、インターネットで調べた限りでは奇数のKは見当たりませんでした。そもそもタイではK以外、パーセンテージでも表示されます。K23に相当する96.5%の下は、90%、80%と表示されていきます。

一部のお店では端数を勝手に処理し、90%をK22として表示することもあるようです。とはいうものの、金行が実際に金を売買する際、商品を厳密に査定しますので、価格は実際の純度、摩耗度、装飾によって決定されます。「タイ金取引業者協会」会員店を利用すれば、まずは安心でしょう。非加盟店や評判の良くないお店で購入した商品は、買い取りを拒否されることもあると聞きます。

タイ人の多くは日本人同様に、金を装飾品として購入して大事に保管しますが、同時に「ひんぱんに売買してその利益を家計の足しにする」といった光景も見受けられ、日本以上に金取引が浸透しているといえます。金行にその日の取引額が貼り出されているのもそのためですし、インターネットが普及した今ではウェブサイトでも簡単に毎日の金価格が確認できます。
金価格は1日で数百バーツ上下するのもざらです。例えばバンコクの最低賃金が363バーツですので、家計の足しにするための金売買は十分にありなのでしょう。売買は決して1バーツごとではなく、半分の0.5バーツでも中途半端な重さでも可能です。こまめな資産運用ともいえます。

株式投資より簡単ですし、外貨投資より気が楽です。ただ、金を持ち歩いている姿を見せたくはありません。金行強盗が多発しているのも事実で、物理的な面での不安がつきまといます。装飾品として金を購入しておき、「必要なときに現金化できる資産」と覚えておくのが良いかもしれません。

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