【語学力×海外キャリア】語学力だけでは通用しない?タイ就職で本当に求められる力とは(前編)
よく聞かれる“語学を活かした仕事をしたい”
語学を活かした仕事がしたいと考え、海外就職を検討している方は多いのではないでしょうか。しかし、よくよく考えると、「語学を活かした仕事」とは少し漠然としていますね。
外国人と一緒に働くこと?
外国で暮らしながら働くこと?
そういったイメージが湧きますが、それが本当に「語学を活かす」こととイコールなのかは、改めて考えてみると案外あいまいです。
筆者も、学生時代から社会人の初期にかけて、「語学を活かした仕事がしたい」と考えてきた1人です。実際に30代半ばの今までに4ヶ国語を学び、現在はタイでタイ語を使いながら仕事や生活をしています。そんな経験から実感したのは、「語学を活かす」とは、ただ語学力が高く、外国人と一緒に働くこと、だけではないということでした。
本コラムでは、タイの求人状況と筆者の就業経験から、語学力と海外キャリアについて考えていきます。
前編では、「語学を活かす仕事」の本当の意味と、タイ就職のリアルな現場についてお伝えします。
タイで語学を使って働くとはどういうことか?
タイで求められる語学力については、【コラム:タイ就職を目指すには何語が必要?タイで求められる言語力について】に詳しく掲載していますので、ここではかいつまんでご紹介します。
タイでの日本人の求人を見ていると、求められている語学力が「英語:社内会話レベル」など、対外的に英語で話す機会が求められない求人が多いことに気づくでしょう。
高い語学力を求められるポジションとして、日本語と英語もしくはタイ語間の翻訳や通訳、秘書業務などのポジションがありますが、募集数は圧倒的に少ないです。なぜなら、翻訳や通訳、秘書などの職務は、タイ人の日本語話者が対応可能な場合が多いからです。
タイ語を求められる求人も存在しますが、数は限られています。基本的には、社内コミュニケーションレベルの英語力ができれば多くの求人に応募が可能です。
それでは、語学力が高ければ、タイで就職に有利なのでしょうか?
タイ就職に必要な能力・経験:語学力だけでは足りない
結論からいうと、必要最低限の語学力がタイ就職で必要ではあるものの、語学力の高さだけでは、タイ就職に大きく有利であるとは限りません。
語学を熱心に学んできた方にとっては残念に感じるかもしれませんが、タイの日本人求人で重視されるのは「日本式の商習慣・マナー」や「業界経験」です。
タイ人にも英語話者・日本語話者は多く存在する中で、あえて日本人を採用する理由の一つは、「日本人としての文化的理解」によるものです。言語だけでなく、日本独自のビジネスマナーや空気を読む力といった背景知識が求められています。
さらに、多くの企業では中途採用に対して十分な教育リソースを割く余裕がないため、即戦力となる業界経験者を優先する傾向があります。業界経験が不問の場合でも、同等の職種経験や高いコミュニケーション力など、「業務を自立して遂行できる力」が評価されます。
まとめ
語学力だけでは評価されにくいという現実。では、語学を本当に“活かす”ためには、どうすればよいのでしょうか?
次回は、三言語を操る筆者自身の経験を交えながら、“語学の活かし方”について掘り下げていきます。
【後編コラム:【語学力×海外キャリア】語学力だけでは通用しない?タイ就職で本当に求められる力とは(後編)】