2025.11.13タイ生活

タイ駐妻100人インタ⑤ バンコク駐妻マウント考

【マウントを取る】
自分が上位であるということを相手に理解させるために、自らの境遇や立場を誇示すること。
※「自慢」が単に自分の優位性を誇る行為であるのに対し、「マウントを取る」という行為は、相手の地位を貶めるような言動や行動をするという特徴がある。
(『新語時事用語辞典』より)

インタビューの回答から見る「駐妻マウント」

タイ駐妻100人インタ② となりの駐妻はキラキラ見える? ~想像と現実とSNS~
では、自身が当事者になる前に「駐妻」には「マウント」を筆頭に何やら面倒そうな人間関係を思い浮かべる人が少なくなかったことをお伝えしました。

しかし、実際に駐妻になってから「マウントをとられた」という人はなく、むしろ「マウント取られてみたい」といった意見まで出るほどに「マウントはなかった」という自発的な明言が一定数聞かれました。

「イメージ」以外でも、「タイ生活/帯同生活の大変なこと」や「駐妻になってからの気分の浮き沈み」といった質問もし、色々辛いことを思い出して泣く方も少なくなかったのですが、「駐妻×マウント」は、「都市伝説」や「未確認生物」の類なのかと思いもするほど、直接的かつ具体的な話を聞くことはありませんでした。

「実際のマウント」は存在する?

中には、「駐妻になりたての頃、ヨーロッパにいたことのある駐妻さん2人とご一緒したら、互いにどこに何年いたとか、そこを拠点にどんな旅行をしたとか話していたのを私はただただ『へぇ~』『素敵』と聞いていたけど、あの2人の間ではマウントの取り合いだったのかもしれない」という話もありました。

また、インタビュー参加者には年齢を問わず「落ち着き」を感じることが多かったので、仮に自身に矛先が向けられた経験があっても、それに気を留めたり口にしたりすることを良しとしなかった可能性もありえるかと。

そんなことを勘案すると、バンコクの駐妻界にマウントが全くないとまでは言えませんが、あるにせよ日本国内や“非”駐妻コミュニティでマウントに遭遇する確率を上回るものではないと思われます。

更に、インタビュイーの話への登場頻度からすると、駐妻のマウントは、仕事で巻き込まれうる各種ハラスメントよりはるかに遭遇確率が低いのは間違いなさそうです。

ネット上で見られる駐妻マウントの検証

駐妻さんご本人から「マウント取られた」という話を聞けなかったので、ブログやSNSで検索をかけてみたところ、あるとされる駐妻マウントの話題には、

「夫の会社名・肩書・給与・福利厚生」「住居(エリア・プロパティ・階数)」「子供の学校・能力」「駐妻歴(年数・経験国数)」「どこ行った」「奥様会の序列」等が見受けられました。

しかし、ここでも、「○○から聞かされました」「食事に行ったら隣のテーブルで駐妻が」等、当事者よりも“非”当事者の方が、当事者/現場に近いと示すキーワードを入れながら語気を荒げているのが目につきました。

今どきの駐妻像とマウントが成立しにくい理由

タイ駐妻100人インタ③ 駐妻は「無能」? ~今どき駐妻の学歴・職歴~~で見たように、今どき、夫云々以前に、駐妻さん自身勉強や仕事で努力して成果を挙げ、キャリアを積んでいます。

また、専業主婦/駐妻歴が長い方たちも困難や葛藤を抱えても柔軟に受け止めて克服してきたかっこいい人たちです。

それだけに、様々な仕組みや事情・状況も知っていて下手に言及しない賢さや配慮、他者の苦労を察して労ったり尽力を称えたりする姿勢を持っています。わざわざ自分の評価を落としうるマウントに手出しするメリットもないでしょう。

仮に「マウント?」と思う場面に遭遇しても、その事象をもって「これだから駐妻は」と大きな主語で捉えたりせず、「この人も色々ストレス溜まっているのかな」と察したり、「それがよほど嬉しいんだな」と解釈したり、あるいは「君子危うきに近づかず」的に適度に距離を取ったりするコーピングスキルをお持ちの方が多いとも見受けました。ということで、殆どの場合そもそもマウントが成り立たない気もします。

奥様会の変化と時代の移り変わり

「奥様会」も、100人にお聞きした結果、「あり」が僅か15%で、それも強制参加ではなく、任意参加が殆どとなってきています。

タイの駐妻ネタによく名前が挙げられる大手自動車メーカーもコロナ禍の時分に改革派の奥様が解散に導いた、とお聞きしました。

また、現在まさに現法社長夫人として奥様会を取りまとめる立場にある方も、「自分が右も左も分からない頃に上の方からよくして頂いたので、新しくいらっしゃる方のサポートをして差し上げたい一方で、時代も変わったので、むしろ気を遣わせないように、奥様会を自分の責任で畳むべきかとも考えています」と。

タイ国日本人会「婦人部」も2024年度をもって廃止となりましたし、そもそも配偶者の会社の枠組み・肩書ありきで自己紹介する場もかなり限定的となっているのが実情です。

もし、自己紹介で配偶者の会社名・役職をお話しする駐妻さんがいたとしても、自慢やマウントというよりも、奥様会が盛んだった頃のマナーを見聞きして、その方の中に残っているということに過ぎないのかもしれません。

マウントよりも心配な「マウントと捉えられる恐怖」

100人からお話を伺っていて気になったのは、「マウント」そのものよりも、「マウントと捉えられうる恐怖」です。

関連して、インタビューで耳に残った言葉に「『自分語り』みたいでごめんなさい」があります。

お一人お一人の話を聞かせていただくためにお会いしているので、ご自身のことを話して下さるのは期待しているところであり、感謝こそすれ困惑することはなかったのですが、それに対して「ごめん」とくるので最初は合点が行きませんでした。

しかし、そう仰る方が一人二人ではなく割と広範囲で、ある種のマナーのように使われているのに気づいて、今どきの人間関係・コミュニケーションの難しさを感じました。

自己開示への遠慮と“距離の詰めづらさ”

そういった言葉を口にするのは、帯同直前までバリバリお仕事していた方に多く、特に、30代の首都圏の方にその傾向が強いように見られました。

確かに、「自分語り」で検索すると、働く女性を主なターゲットとするマイナビウーマン・Oggi・Domani等での解説が上位に出てきます。

ご自身の学歴・キャリア、旦那様の優しさ・協力的な姿勢、お子さんの手のかからなさ等、どちらかというと自分が持っている/恵まれていると自覚したり、タイ駐妻100人インタ④ 駐妻とJTCとお金の話
の最後にお話ししたような帯同に伴う待遇の違いがありえることを想定したりしている方が多いことは、インタビューを通じて至る所で感じました。

それゆえに、淡々と事実を口にするだけでも、もしかすると話し相手にはマウントに聞こえるかもしれない、不快な思いも気まずい思いもさせたくないという遠慮から、自己開示を避ける風潮が生まれているようです。

それに伴って、もう少し踏み込んだ話をしたらもっとぐっと仲良くなれるであろう相手ともなかなか距離を縮められずにいる様子も見え、この辺りが駐妻100人インタ① 悩める“駐妻”⁉ ~はじめに~で触れた「独特の悩み」に繋がることなのかもしれません。

<本記事はチャオプラヤー・タイムズ 「南洋茶話2ndシーズン」第9回を許可を得て引用・転載しております。>

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