タイは今も成長市場！注目すべき11業種の最新動向
タイは「成熟した市場」と見られることも増えてきましたが、実際には多くの産業分野でいまなお成長を続けています。特に医療・観光・デジタル教育・高齢化対応などの分野では、新しい需要が次々と生まれており、これから進出する企業にとってもチャンスの多い国です。【関連コラム：タイ市場でこれから売れる商品・注目業界6選｜需要拡大の兆しと成長分野を解説】
以下では、主要11業種の成長動向を概観します。
1. 自動車産業｜EVと中国ブランドの台頭で大転換期に
タイの自動車販売はここ数年で大きく落ち込み、2024年の国内販売台数は前年比で26.2％減の57万台強にとどまりました。【出典：ロイター通信】家計債務の増加やローン審査の厳格化が要因です。一方で、中国製EV車などの新規ブランドの参入が活発化しており、自動車業界は大きな転換期を迎えています。政府も支援策を講じて業界再活性化を図っています。
2. 住宅・コンドミニアム市場｜外国人投資と再開発で拡大中
住宅不動産市場は年平均成長率4.47％で推移しており、再開発と外国人投資の影響で2029年には200億米ドル規模に達する見込みです。バンコク中心部や郊外の開発が活発化しており、特にコンドミニアム需要が堅調です。
3. 飲食業｜中間層拡大で外食市場は年4〜5％成長
外食市場は都市部の中間層拡大とともに年4〜5％で成長中。屋台から高級レストラン、日系チェーン、デリバリー特化型まで業態は多彩で、ASEAN域内でも競争力のある飲食市場となっています。
4. 食品輸出｜東南アジアの“台所”として国際競争力を強化
タイは食品分野での純輸出国。2023年の食品輸出は約388億米ドルに達し、米や冷凍エビ、調味料、水産加工品、ドリアンなどの果物が主力です。アメリカ・中国・日本への輸出が特に強く、東南アジアの「台所」としての存在感は高まる一方です。
5. 介護事業｜高齢化で急成長する福祉・医療サービス市場
高齢化率が上昇中で、2023年時点で60歳以上の人口は全体の20％超。2040年には30％を超えると見られ、介護施設、訪問介護、福祉用具レンタルなどのビジネスが急成長しています。都市部を中心に民間サービスも増加傾向です。
6. 教育・EdTech｜デジタル教育の急伸と語学・IT需要の拡大
デジタル教育市場の伸びが顕著で、教育アプリ市場は2029年までに2,800万ドル超へ。語学教育やIT教育のニーズも高く、学校法人だけでなくEdTechベンチャーにとっても有望な市場です。
7. エンタメ産業｜BL・K-POPなど新トレンドが市場を牽引
タイのエンターテインメント市場は2024年時点で約6.9兆バーツ。特に韓流、BLドラマ、コンサート市場の成長が著しく、外国人アーティストのイベントも頻繁に開催されています。YouTubeやNetflix、TikTokとの連動型コンテンツも市場を押し上げています。
8. 観光・ホテル業｜医療・ゴルフ・ハラールなど多様化が進む
観光はタイ経済の主軸の一つ。2023年は外国人観光客から約337億ドルの収入を得ており、域内でもマレーシアやインドネシアを大きく上回る水準です。医療観光、ゴルフ、ウェディング、ムスリム旅行者向けなど多様な市場展開が進んでいます。
9. 農業・農産物輸出｜果物・伝統作物で堅調な外貨獲得
農業輸出総額は2024年で約522億米ドル。果物輸出（65億ドル）は農産品全体の22％を占めており、ドリアン、マンゴー、ライチなどの果物は中国市場を中心に好調です。米、キャッサバなど伝統作物の競争力も維持されています。
10. 製造業｜EV・再エネ部品で次世代型産業へ転換
2023年は前年比約4.3％の減少となりましたが、EV関連部品や再エネ関連の製造業にシフトが進んでおり、次世代型産業への転換期と見ることができます。中国系企業による投資も活発化しており、製造業の再成長に注目です。
11. メディカルツーリズム（Medical Tourism）｜中東・アジア富裕層が市場をけん引
2023年には約300万人の医療観光客がタイを訪れ、市場規模は60億ドルを突破。がん治療、美容整形、歯科医療、体外受精など多様な分野でサービスが拡大しており、特に中東・アジアからの富裕層の訪問が目立っています。
まとめ｜タイは“成熟市場”ではなく“進化し続ける市場”
タイはアジアの中でも成熟に近づいた市場と見られがちですが、まだまだ成長中の業界は多く存在します。都市化・高齢化・デジタル化・観光再活性といったキーワードを背景に、今後も多様な産業分野でチャンスが期待されます。
タイ進出は、いまこそ本気で検討すべき選択肢です。
