2023.10.24タイの文化

タイの祠・サーンプラプーム

タイの一軒家やコンドミニアムの庭、オフィスビルの外でも、かならず目にする小さな祠がありますね。お供え物や線香を手に拝んでいる人もよく見かけるでしょう。このような祠は、サーンプラプーム(ศาลพระภูมิ)といいます。「サーン」とは、神廟や祠のこと。「プラプーム」は、その場所の守護神といった意味になるでしょうか。つまり、家や建物を護ってくれる神様を祀った祠なのです。サーンプラプームは「ピー(精霊)」を拝むものだ、あるいは仏様を拝むものだと勘違いしている人はタイ人にもよくいますが、そのどちらでもありません。

神話によると、プラプームとは、古代インドのバラナシに生まれた9人の王子のこと。この王子たちがそれぞれの場所を守護する神様として祀られるようになりました。
最も一般的なのは、家や商店を護る「プラチャイモンコン」という神様です。他は、要塞や城門を護る「プラナコーンラート」、牧場の「プラテーペーン」、倉庫の「プラチャイソップ」、結婚式場の「プラコンタン」、田畑の「プラタムホーラー」、寺院の「プラテーワテーン」、自然公園の「プラタムミッカラート」、水路や池の「プラタートターラー」となります。

さて、サーンプラプームは、タイ全国で見られます。ラオスやカンボジアにもあるそうです。タイでは、家やビルを新築した時にサーンプラプームを建てない人はまずいません。ここでは、サーンプラプームの構成や決まりごとについて、詳しく見ていきましょう。

まず、サーンプラプームの形ですが、家の形、または、寺院のお堂のような形になっています。これは木製でもいいですし、セメントなどで作っても構いません。大きさに決まりがあるわけではなく、家やビルの規模に合わせて自由に建てていいそうです。色も自由ですが、水色・青・黒はNG。プラプームは火のエレメントを持っているので、水のエレメントに属する色にしてはならないのです。ですので、よく使われる色は、白・黄・赤・金などとなります。

サーンプラプームは、太い柱1本で支えます。柱は、地面(地上)に安置しますが、スペースがなければ屋上に建てても構いません。ただし、地面に直接建ててはならず、台などで1クープ分高くした場所に設置します。クープとは、タイの古い長さの単位で、手を大きく開いた時の親指から小指までの長さをいうのですが、実際には25センチとなります。方角は、正面を東北に向けるのが最も良いそうです。西向き・南向き以外なら悪くはないですが、注意点として、正面が建物の方に向くような配置は絶対にいけません。庭の隅や角に建てることが多いですが、塀からは1メートル離さないといけません。

次に、サーンプラプームに必要なものは、ご本尊、従者、飾り物となります。ご本尊は木彫の天人などですが、目に見えない神様の代わりにこの偶像を拝みます。従者には、男女の人形、象と馬の人形、舞踏団の人形などがあります。飾りは、様々な色の布、花瓶、ろうそく立て、線香立てなど。お住まいのコンドミニアムやアパートのサーンプラプームにどんなものが置かれているか、ぜひ見に行ってみて下さい。

最後に、儀式です。サーンプラプームを建てただけでは、まだ神様は宿っていませんので、神様をお招きするための儀式を行わなければなりません。建物の所有主の生年月日によって儀式の日が決まるなど、さまざまな決まりごとがあります。バラモンの儀式ですので、伝統に詳しい人が呼ばれて執り行われます。

プラプームを祀ることでその家や家族に安寧がもたらされ、厄災を逃れられると信じられています。タイの人は、仏教を信仰する人が多いですが、インドから伝わったさまざまな神様も拝んでいるのですね。

 


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