第2回:業種別で見るタイ人給与相場とキャリア動向①(バックオフィス編)
前回の「第1回:タイ人の給与構造と市場の基本理解」では、タイ社会における所得格差の実態や、給与を判断する際には「同業他社・同業種との比較」が重要であることを解説しました。
今回はその続編として、企業の根幹を支えるバックオフィス職種(経理・財務・管理部門・日本語人材)に焦点を当て、給与相場とキャリア動向を見ていきます。
■タイの経理・財務人材

経理・財務人材の給与水準は、新卒で1.7〜2.2万バーツ、マネージャーレベルで5.5〜6.4万バーツが相場です。業務範囲が明確でスキルの可視化がしやすいため、給与は比較的「職能連動型」で決まりやすい職種です。
実務+英語力を兼ね備えた中堅層以上は少ないため市場価値が高く、給与相場が上がる傾向にあります。英語・CPDライセンス・レポーティング経験を持つ人材は他社との競争が激しく、面接から内定までのスピードが採用成功の鍵となります。経理人材は“裏方”ではなく、数字で経営を支える中核職です。給与相場に見合った評価軸を整備することが、今後の人材確保の鍵になります。
■タイの管理部門人材

管理部門(人事・総務・法務など)は、企業規模によって給与差が最も出やすい職種です。新卒で1.7〜2.2万バーツ、マネージャークラスで約5.2〜6.1万バーツが相場ですが、日系大手や外資で、語学堪能、幅広い職務を経験したマネージャー層ですと8万バーツを超える例も珍しくありません。
業務内容が「定量化しづらい」ため、評価が年功的になりやすいのが課題です。
■タイの日本語人材

日本語人材の給与は、多職種に比べて、新卒レベルから給与水準が上がります。JLPT(日本語能力試験)レベルにより、新卒で2.9〜3.4万バーツ、マネージャーレベルで5.9〜7万バーツが相場ですが、マネージャーレベルになるとJLPT N1+業務経験者は10万バーツ超も珍しくありません。
社内での役割が通訳や事務サポートにとどまる場合、数年でキャリアアップ転職を検討する傾向が見られます。社内でのキャリアアップの道筋を提示することで、優秀な日本語人材の定着を図ることができます。
■パーソネルコンサルタント独自調査 在タイ日系企業給与・福利厚生調査データ
弊社では、毎年関係各社様のご協力を得て、在タイ日系企業を対象とした給与・福利厚生調査を実施しています。
本コラムでは2024年のデータをもとに解説していますが、各データの詳細や、2025年の最新データや過去データ(2024年以前)は、弊社公式ページより必要情報をご入力のうえダウンロードいただけます。
貴社の給与設定や人材戦略の検討に、ぜひご活用ください。
第3回コラムでは、営業・IT・エンジニアの3職種について解説します。
シリーズ
👉 第3回:業種別で見るタイ人給与相場とキャリア動向②(営業・IT・エンジニア編)
