第3回:業種別で見るタイ人給与相場とキャリア動向②(営業・IT・エンジニア編)
前回(第2回)では、バックオフィス職種を中心に給与相場とキャリア動向を紹介しました。
本稿では、日系企業でも採用ニーズの高い営業職・IT職・エンジニア職の3職種について解説します。
シリーズ
👉 第2回:業種別で見る給与相場とキャリア動向①(バックオフィス編)
👉第4回:タイ人が企業に求めるもの — 昇給率・ボーナス・“働く理由”
■ 営業職:成果主義が浸透、報酬差が最も大きい職種

営業職は成果に応じて報酬が変動しやすく、タイの中でも最も給与レンジが広い職種です。
新卒で1.9〜2.4万バーツ、マネージャーレベルで5.6〜6.7万バーツが相場ですが、インセンティブ制度の有無や担当業界によって年収は大きく異なります。
特に外資系企業や海外顧客との折衝があるポジションでは、日本語・英語による交渉力が求められ、語学堪能な人材は8〜9万バーツ以上を提示されることもあります。
インセンティブ制度を導入する場合は、月次目標・達成基準・支給タイミングをオファー段階で具体的に説明することが重要です。
■ IT職:需要拡大とスキル細分化で上昇する市場価値

IT人材の給与は、新卒で1.9〜2.4万バーツ、マネージャーレベルで5.7〜6.7万バーツが相場です。
近年はDX推進やデジタル化の流れを受けて、システム開発・データ分析・セキュリティ分野の求人が急増しています。
特に、英語で社内コミュニケーションが可能なITエンジニアやIT営業職は希少で、完全な“売り手市場”が続いています。
そのため、候補者は給与だけでなく、学び続けられる環境・プロジェクトの規模・リーダー経験の有無などを重視する傾向にあります。
企業側に求められるのは、「スキルの可視化」と「キャリアパスの提示」です。
給与水準だけでなく、成長機会をどれだけ提供できるかが採用・定着の分かれ目となっています。
■ エンジニア職:製造業の要、人手不足が続く技術系ポジション

エンジニア職(技術職)の給与相場は、新卒で1.7〜2.2万バーツ、マネージャーレベルで5.2〜6.1万バーツ程度です。
製造業が経済の中核を担うタイでは、設備保全・品質管理・自動化などを担当する技術系人材の需要が慢性的に高い状況にあります。
特に、英語でレポーティングや日本人上司との調整ができる人材は7〜8万バーツ以上のオファーを受けるケースもあります。
企業としては、スキルマップやリーダー職への昇格ルートの明示を通じ、成長実感を与える仕組み作りが求められます。
■ パーソネルコンサルタント独自調査:在タイ日系企業給与・福利厚生データ
弊社では毎年、在タイ日系企業各社のご協力を得て、給与・福利厚生に関する独自調査を実施しています。
本コラムでは2024年のデータをもとに解説していますが、2025年の最新データおよび過去データ(2024年以前)は、弊社公式ページより必要情報をご入力のうえダウンロードいただけます。
貴社の給与設定や人材戦略の検討に、ぜひご活用ください。
■ タイの給与相場を知ったその後の一手とは
第2回・第3回にわたり、主要職種の給与相場とキャリア動向を紹介してきました。
タイ人求職者にとって給与は依然として最も重視される要素ですが、同時に「働く理由」や「成長できる環境」も重要視されています。
次回は、タイ人が企業に求めるもの — 昇給率・ボーナス・働く動機について、最新調査をもとに解説します。
👉 第2回:業種別で見る給与相場とキャリア動向①(バックオフィス編)
