2023.08.14タイの文化

タイの春節と中華系行事

タイは「正月」がいくつあるかご存知ですか? 答えは「たくさん」。地域や民族、宗教によって異なる「正月」もあるので数えきれないのです。が、中でも盛大なのは、新暦の新年(1月1日)、タイ正月(4月13〜15日)、そして、春節(中国の旧正月)の3つとなります。
春節は、だいたい今の1月下旬から2月頃にあたります。タイ語ではトゥルット・チーンといいます。公的な祝日にはなっていませんが、タイにも華人が多いため全国で広く祝われており、景気よく爆竹が鳴らされ、龍舞や獅子舞も出て賑わいます。

春節までの3日間は、それぞれの日に何をしなければならないか、しきたりが決まっています。

元日の前々日はワン・チャーイ(買い出しの日)といい、必要な食物等を買います。
前日はワン・ワーイ(祭祀の日)といいます。祭祀は3つの時間帯に分けて行われます。まず早朝、神々を祀ります。主なお供え物は肉類(豚、アヒル、鶏など)と、酒、茶、金銀の紙です。次に、午前中、先祖の霊を祀ります(正午を過ぎてはいけません)。お供え物は肉類、先祖の好きだった食べ物などです。また、金銀の紙を燃やすのですが、これはお金を表しており、あの世でお金に困らないようにという意味があります。近年は「冥幣」なるおもちゃの紙幣も売られており、よく見ると閻魔大王のような肖像画が描かれ、発行元は「冥界銀行」、金額は十億円だったりして面白いです(漢字なので読めます)。一度に何十枚も燃やすので、ご先祖様は大金持ちになれますね。紙を組み立てて作る携帯電話や高級車もあります。午後になったら、他界した兄弟姉妹を祀ります。お供えは、カノム・ケン(バナナの葉のカップに入れた甘い蒸し餅)、カノム・ティエン(バナナの葉で三角に包んだ甘い餅)、タロイモの砂糖漬け、金銀の紙などです。爆竹も鳴らして福を呼びます。

元日はワン・ティアウ(遊ぶ日)といい、中国語で「新正如意(シンジア・ユーイー)」「新年發財(シンニー・フアチャイ)」と言い合って祝います。中国や中華圏での挨拶とは異なりますが、タイや東南アジア諸国でよく使われる表現です。また、紅包(アンパオ)という赤いお年玉袋のようなものにお金を入れて配ります。

春節には、福を逃がさないようにするためのさまざまな決まり事があります。やってはいけないことは、泣く、服を洗濯する、物を壊す、お金を貸す、他人の寝室に入る(または他人を自分の寝室に入れる)、家を掃除する、刃物を使う、新しい靴を買う、不吉・不謹慎な言葉を口にする、モノトーンの服を着るなどです。仕事をしてはいけないといわれることもあります。一部の中華系の会社を除き、一般に春節は休日になりませんが、自ら有給休暇を取って家族と過ごす華人も多くいます。「大事な取引があって春節休暇中の社員を呼び出そうとしたのに電話も出てくれなかった」なんて話も聞きますが、「仕事をすると福が逃げる」と言われては怒るに怒れませんね。

日本のお正月は門松などを飾りますが、華人の飾り物はもちろん赤いランタン(提灯)がメインです。タイの中華街やデパートも春節が近づくと、赤一色のデコレーションに変わります。面白いのは、新暦1月1日の正月には特に何も飾られないこと。クリスマスにはツリーやイルミネーションがありますが、年を越しても取り払われる気配がなく、次に飾られるものがランタンなんです。西洋文化に比較して、華人の文化の方がしっかり根付いている国だということがよくわかります。

ですので、中国の行事や風習は春節だけでなく、一年を通して見ることができます。たとえば、旧暦7月15日の中元節(サート・チーン)。今の8月頃にあたりますが、先祖の霊をお迎えする行事で、日本では盂蘭盆(うらぼん)といわれるものですね。また、中秋の名月の頃には、本場中国と同様に月餅を贈ります。中華料理店やホテルでさまざまに工夫を凝らした月餅が売り出され、中国らしい絵柄の入った化粧箱が街中で見られるようになります。売り場ではさまざまな店の月餅を試食して歩くのも楽しみ。タイで古くから人気なのはドリアン餡の月餅ですが、今ではコーヒー味やラズベリー味などの洋菓子風、抹茶味や柚子味など和菓子の影響を受けた月餅も流行しています。ミニ月餅も多くなっているのは、中国でもタイでも同じですね。

このような伝統行事を見ていると、中国の人たちのパワーが実感できます。お祭りの日の中華街に繰り出せば、その活気に圧倒されること間違いありません。

 

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